太宰府天満宮の「萩狛犬」
今日は梅を訪ねて、太宰府天満宮に行ってきました。
まずは延寿王院。
8月18日の政変で都落ちした公卿たちが、最後に行き着いた太宰府天満宮です。
「五卿遺跡」という揮毫は、三条実美の次男によるもの。
ここには、西郷隆盛や坂本龍馬、中岡慎太郎、そして高杉晋作も
五卿を訪ねてきたと看板に書いてありますが、
この時期、高杉がここに来れたのか「謎」です。
平尾山荘に潜伏時期ならわかりますが、慶應元年〜2年の間に
福岡に来る余裕あったのかな?
さて、前置きはこのくらいで今回のテーマは、太鼓橋の前にある
一対の「萩狛犬」についてです。
狛犬というのは、想像上の動物で天皇をお守りするために、1700
年頃から盛んに神社に奉納・寄進されたそう。
延寿王院を通り過ぎて、最初の鳥居をくぐったところ、太鼓橋の
手前に一対の狛犬があります。
阿吽の形で、特に珍しいものではありません。
しかし、この後ろにまわってみると、石工の名前とともに
大きく刻まれている文字が!
江戸狛犬、大阪狛犬、萩狛犬と有名なところはそのあたりで、
それが全国で見られるのですが、
大阪狛犬と萩狛犬の大きな違いは、これ!
・大阪の狛犬は参拝者を見つめているが、萩狛犬は頭上・虚空を見つめている。
・萩狛犬には、台座に牡丹や松竹梅などの浮き彫り加工がされている。
台座には確かに牡丹の浮き彫りがあります。
これらは、加工しやすい安山岩で、石工の腕の見せ所だったのでしょう。
この萩狛犬は、文久2年に寄進されています。
そして、同じ年に京都の北野天満宮にも寄進されているそうです。
尊皇攘夷派のリーダーとして、長州が京都での存在感を強めていた
証ではないかと。
幕末の長州志士たちは天神信仰が盛んだったので、天皇は我らが
お守りしますという気概をこめて萩から運んだのでしょう。
また防府天満宮には、大阪狛犬と萩狛犬、両方があるそうです。
近くの方は、ぜひ行って確かめてみてください。
さて、想像上の動物というと、天満宮にはもう1体、素敵な像があります。
「麒麟がいる」
いつ見ても素敵な像!
頭が狼、胴体は鹿、足は馬、尻尾は牛と、それぞれの動物の一番
美しいパーツが組み合わされているものだそうです。
顔が向いているところから縦のラインを引くと、麒麟の胸から前は
聖域、後ろは俗域とされ、結界を表しているとのこと。
なるほど〜。昔の人は発想がユニークですね。
聖域のすぐそばには、これまた立派なお手水があります。
麒麟は博多の豪商たちが寄進、お手水は博多の遊郭の
女性たちの寄進と聞いています。
幕末に長崎のトーマス・グラバーが家族でここを訪れた時、
お嬢さんがすごく気に入って「このキリンが欲しい」と
言ったとか。
かわいい愛娘のためにグラバーは天満宮に交渉するも、
もちろん「NO!」ですよね。
そこで後に似たような像を作らせました。それが、
長崎のグラバー邸には今もありますよ。
またグラバーは麒麟ビールの創業社長でもあり、
今でも残る麒麟ビールのラベルのモデルは
この麒麟さんです。
今日は梅が綺麗でした。
まもなく受験シーズン突入!
コロナやインフルにかかることなく、
受験生の皆さんにお守りがありますように✨
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